研究室について(研究室配属を控えた学生むけ)

まずは閲覧してくれてありがとうございます.
当研究室は,2018年11月に発足したばかりの研究室です.
以下では,研究室配属を控えた内部・外部学生むけに,当研究室での研究室生活や研究内容などについて簡単に説明しています.

現B3・B4学生へ:研究室紹介をzoom上で行います.希望者はこちら のフォームから参加登録をお願いします.

その他,個別に問い合わせしたいことがあれば下記までメールを送ってください.
sadamoto_[at]_uec.ac.jp (_[at]_を@に変換)

研究室生活

当研究室は金子研との合同研究室ですが,研究内容および指導は別になります.
金子研学生室は東3-620にあり当研究室は東3-701Aにあります.合同部屋ではないものの階段一つおりれば一緒なので,頻繁に交流しています.
以下,個別具体的に列記します.

□研究関連

  • 研究テーマは,興味をふまえた上で課題探しから一緒に行います.なお,過去/現在の学生のテーマは以下の通りです.

    2019年度 学部

    1. 制御性能と通信コストのトレードオフを考慮した強化学習(応用イメージ:スマートグリッドの制御) [1]
    2. データ駆動制御の制御性能解析とアクティブノイズキャンセリングへの応用(音響に興味がある,という学生の意向を反映) [2]-[3]

    2020年度 学部/修士

    1. [B] 入出力情報のみに基づく強化学習と避難誘導系への応用 (避難誘導,強化学習に興味があるという意向を反映)
    2. [B] 次世代電力システムのリアルタイム潮流設計 (電力系に興味があるという意向を反映)
    3. [M] 大規模ネットワークシステムに対する制御性能と通信コストのトレードオフを考慮した強化学習
  • 全ての研究が理論とシミュレーションで完結し,実験はほぼ行いません (興味がないのではなく定本に実験指導力がない).
    ですから,制御を使ってみたい・ロボットを動かしたい,という人にはオススメしません.ロボットをきっかけとして制御理論を学びたい,という人は歓迎です.

  • 成果(がでるように丁寧に指導する)主義です.

  • ゼミは,週に一度金子研と合同で行います.一年かけて制御理論の本を一冊読みます.

  • 報告会は,週に一度金子研と合同で行います.毎回2~3人が発表会形式で報告します.

  • 報告会とは別に,定本研の学生は毎週個別にミーティングをします.
    これは,進捗報告というよりも疑問に答えたり一緒に考えたりする時間という側面が強いです.

□生活関連

  • コアタイムはありませんしバイトもOKですが,(一緒に)研究計画をたててコツコツと頑張ってください.

    COVID-19により,現状,当研究室は全活動をオンラインで行っています.ノートPC等の必要なものはこちらで用意しています.

  • 年末や就活終了時などの節目では金子研と合同で飲み会をしています.飲めなくても問題ありません(実際,定本自身がビール一杯しか飲めません.)

  • 不定期に飲み会(など)が学生間で開催されています.いいことだと思っています.

[1] 星屋知輝, 定本知徳: "強化学習を用いた分散最適制御", 第7回制御部門マルチシンポジウム, 2020
[2] 定本知徳, 小林史弥, 金子修: "フィードフォワード制御器の性能保証付きデータ駆動設計法の提案", システム制御情報学会論文誌, vol. 33, no. 6, pp. 201-206, 2020
[3] 小林史弥, 定本知徳, 金子修: "フィードフォワード制御のデータ駆動型設計における制御性能解析", 第62回自動制御連合講演会, 2019

求める学生像(?)

□配属前

  • 基礎制御工学・現代制御は履修済であることが望ましいです.
    それ以上の知識(制御,電力)や英語力は不問ですが,研究をすすめながら勉強することは必須です.

  • GPAは2.0以上あると望ましいですが,必須ではないです.

  • ようするに,成績よりもマジメさと粘り強さを重視します.

  • 論文の締め切り前はかなり忙しくなるので,そうならないようコツコツと努力できる人は大歓迎です.

□配属後

  • 卒研報告会までに,国内学会で発表済もしくは予定くらいの成果を目指します.

  • 修士進学者は,修了までに論文投稿および国際学会での発表を目指します.
    なお,プレゼン指導はこれらの対外発表時に集中して行います.

研究内容

以下の3つは定本自身が行ってきた主な内容ですが,これに類さないものも価値のあることは研究テーマ化します.

■新たな強化学習法の提案

強化学習という言葉は,もはや聞いたことのない人がほとんどいないくらい有名になりました.
しかし,強化学習が制御理論でいうところの最適適応制御であるということは,世間的にはほとんど知られていません.

当研究室では,最近,制御理論の観点から強化学習を研究しています.
たとえば[1]では,可制御性にもとづき大規模データを圧縮することで性能劣化を抑えつつ効率よく学習を行う方法を提案しています.
このように,〇〇学習法を××に使ってみたではなく,新しい方法論を提案することに主眼を置いた研究を行っています.

強化学習ではデータを用いて制御器を設計します.これとは異なるアプローチとして,金子研ではFRITと呼ばれるデータ駆動制御を研究しています.
ベースの理論が大きく異なるためそれぞれに長所・短所がありますが,それらの融合にも興味を持っています.

[1] T.Sadamoto, A.Chakrabortty, Jun-ichi Imura: "Fast Online Reinforcement Learning Control using State-Space Dimensionality Reduction", IEEE Transactions on Control of Network Systems, Resubmitted, 2020 [arXiv]


■スマートグリッドに関する研究

太陽光パネルを街中でみることが増えてきたと思いませんか?
あるいは,電気の契約先を変更しませんかという案内をうけとった人も多いのではないでしょうか.

これらは,低炭素社会の実現に向けた政府の取り組みが特にこの10年間で本格化しているからです.
しかし,解決すべき課題はたくさんあります.
たとえば,たくさんの太陽光パネルが実は電力システムにつなげられていないという問題(送電線空き容量問題)はテレビや新聞でもたびたび報道されています. こうした喫緊の課題だけではなく,より大きくまとめると

  • 自然エネルギー源をつなげていくと電力システムは不安定になりやすい(≒落雷などですぐに停電が起きる)

  • 天気まかせの気まぐれなエネルギーに頼りながら必要な分の電気を必要な場所に送りつづけるためには?

  • 安全・安心なシステムにするためのプライバシー・セキュリティ対策

などもあります.

これらの課題解決を目指して,制御×電力の融合研究に取り組んでいます.以下は過去に取り組んだ内容の一部です.

  • レトロフィット制御理論[1]に基づく,安定性を向上させるプラグイン型制御器の設計[2,3].
    一般向けの解説がこちらの科学技術振興機構のプレスリリースとして出されているのでそちらを参照ください.(東工大の石崎先生,井村先生,ノースカロライナ州立大のAranya先生との共同研究)

  • 電力システムの安定性を陽に強化する潮流設計[4]
    いつどこにどの程度の電気が流れているかを潮流とよび,電力システムの安定性(≒停電の起きにくさ)は潮流に大きく依存することが知られています.
    この研究では,制御理論の観点から安定度を定量化し,それを強化する潮流設計アルゴリズムを提案しています.(慶応大の井上先生との共同研究)

  • 風力発電機の可制御性解析・改善およびプラグイン化[5]
    ある種類の風力発電機は,設計次第では電力システムに大きな悪影響をもたらすということを可制御性という観点から解析しました.
    さらに,これはB2Bコンバータと呼ばれる装置を追加することで劇的に改善でき,プラグイン化という扱いやすい性質ももたらすことを理論的に示しました. (ノースカロライナ州立大のAranya先生との共同研究)

これらの提案方法の有効性は,実データをもとにした米国電気学会(IEEE)のベンチマークモデルのひとつや日本電気学会から提供されている東日本の電力システムモデルで検証しています.

なお,スマートグリッド関係の研究はノースカロライナ州立大のAranya先生と共同で行っています.
希望があれば一緒にskype会議を行うことも可能ですし,国際的・学際的な経験を積むことはおおいに推奨しています.

[1] T.Ishizaki, T.Sadamoto, J.Imura, H.Sandberg, K.H.Johansson: "Retrofit Control: Localization of Controller Design and Implementation", Automatica, vol. 95, pp. 336-346, 2018
[2] T.Sadamoto, A.Chakrabortty, T.Ishizaki, J.Imura: "Dynamic Modeling, Stability, and Control of Power Systems with Distributed Energy Resources", IEEE Control System Magazine, vol.39, no.2, pp. 34-65, 2019 [論文], [雑誌の表紙に採用]
[3] T.Sadamoto, A.Chakrabortty, T.Ishizaki, J.Imura: "Retrofit Control of Wind-Integrated Power Systems", IEEE Transactions on Power Systems, vol.33, no.3, pp.2804-2815, 2018 [論文] [科学技術振興機構のプレスリリース]
[4] 荒幡, 井上, 定本, 鈴村: "電力系統の減衰性能を強化する潮流状態の探索", 計測自動制御学会論文集, vol. 55, no. 2, pp. 127-134, 2019
[5] T.Sadamoto, A.Chakrabortty: "Improving Controllability and Plug-and-Play Operation of Wind Farms Using B2B Converters", IEEE Control Systems Letters, vol. 4, no.2, pp. 379-384, 2020


■大規模複雑システムの制御・推定

ここでいう大規模複雑システムの典型的な例は上で紹介したスマートグリッドです.
自動運転が注目されている交通システムも,応用上重要な大規模複雑システムの例となります.

他にも,分布定数系とよばれる偏微分方程式で記述される物理系もある種の大規模複雑システムとみなすことができます.
そのようなものの例として物体の温度分布変化,変形,流体の移動,音場や電磁場などが挙げられます.

以下の研究は,定本が過去に取り組んだ内容の一部です.

  • プラスチック製品をつくる機械(射出成形機)の歩留まり改善にむけた,可塑化プロセスを担う機構の低次元モデリング[1]

  • レトロフィット制御理論に基づく,低次元な階層型分散制御器の設計[2] (応用イメージ:スマートグリッドの制御)

  • 大規模システムを対象とした,計算効率のよい状態推定機構の提案[3] (応用イメージ:気象予測)

現在でも,上記のスマートグリッドに関する研究や学習制御での[1]のように大規模複雑システムを対象とした研究に取り組んでいます.

[1] 定本,加嶋,森田,水野:"射出成形機むけ加熱シリンダの非線形モデリングと低次元化", システム制御情報学会論文誌, vol. 26, no. 5, pp.174-181, 2013
[2] T.Sadamoto, T.Ishizaki, J.Imura, B.Besselink, H.Sandberg, K.H.Johansson: "Distributed Design of Locally Stabilizing Controllers for Large-Scale Networked Linear Systems", IEEE Multi-Conference on Systems & Control, pp.1835-1840, 2015
[3] T.Sadamoto, T.Ishizaki, J.Imura: "Projective State Observers for Large-Scale Linear Systems", European Control Conference, pp.2969-2974, 2014

さいごに,教員自身について

  • へたながら楽器を弾きます.たま~に練習しています.

  • 珈琲好きです.右の写真は自宅の実験環境と実験結果です.